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スターティア株式会社

スターティア株式会社

本郷 秀之

1966年
熊本生まれ。
1996年2月
情報機器販売会社などを経て、独立。
2004年
商号をスターティア株式会社に変更。
2005年12月
東証マザーズ上場。
「企業間のデジタルデバイド(情報の格差)を解消し、活力に満ちた事業体となるためのお手伝いをする」を使命とし、電子ブックを始めとしたWEBアプリケーションとクラウドを中心としたITインフラの提供を行う。
数あるIT企業の中で御社の強みや他社に負けない要素、社長ご自身がマーケットに対して受け止められている部分をお聞かせください。

ありきたりだとは思いますが、結局ビジネスモデルも事業モデルも原点は“人間”だと思います。元を辿ると、意識が高い優秀な社員が集まってくれているというところから始まり、その人が真剣にお客様や世の中、自分自身、会社のために頑張ろうという集団ですから、当然良い事業モデルが出来ますよね。良い事業モデルが出来たとしても、「それを実際に高い志や情熱をもって出来るか?」ということが成功のキーの中の一つにはなるかと思いますが、それを実践できているということだと思います。それが原点で、すべてがそこに行き着くと思います。

起業されたきっかけを教えて頂けますか?
元々はあまりITとは関係のない企業の営業として働いていましたが、市場がシュリンクしていく事業だったため会社が大きくならず、いつも同じような仕事ばかりで面白味がありませんでした。当時はまだITと言う言葉があまりなく、通信と呼ばれている時代でした。アメリカのAT&Tのように日本もNTTが民営化し、国際電話や国内電話を含めた新電電という会社が出始めた頃、通信の可能性に面白さを感じ、通信の会社へ転職しました。業績はそれなりに良かったものの、就職して数年後に会社が倒産してしまったので、「じゃあ起業しよう」ということで作りました。一般的なIT企業の社長は最初から起業の意志のある方が多いかと思いますが、僕の場合は脱サラ、しかも脱サラだけではなく、「会社がなくなったから“起業した」んですよ。
創業当時のメンバーは、以前勤めていた企業の部下たちです。全員残ってくれていますが、これはIT企業にしては珍しいと思いますね。ただ、これは良いか悪いかでいうと別の話で、良い面の方が多いですが悪い面もあります。
「悪い面」を具体的に教えて頂けますか?
会社の成長スピードと各創業メンバーの成長スピードが同じではないので、同じメンバーでもそのポジションで残る人と残れない人とが必ず出てきます。個人的にはあまりいいことだとは思いませんが、そういう苦しみがないと健全な組織ではないし、組織である以上は仕方がないことですよね。確率的にはほとんどありえませんが、最初から頑張ってくれている人たちと共にずっとそのポジションで頑張り、皆で成長して皆で良くするというのが一番ハッピーだとは思います。
御社の事業領域の内、最初はビジネスソリューションから開始したと伺っております。数ある通信サービスの中から、なぜビジネスソリューションという分野を手掛けられていたのでしょうか?
昔はNTTしかなかった通信の仕事が、新しい電話会社になり、当社ももともとは今でいうKDDIの仕事をしていました。実はこれより少し前に、ビジネスフォンの世界もNTTしか作っていなかったのに対し、「新しい電話会社が新しい電話も販売するべきだ」と、今のフォーバルさんが新しい電話を販売するような時代が少しありました。新しい電話会社が出来るということは、そのお客様のアナログ回線やISDN回線などいろいろな回線の情報を持っているということになります。回線を持っていると、ビジネスフォンを販売する上で非常に優位に働いてきているということもあり、そこにすごく魅力を感じたのがきかっけですね。
当社の事業モデルは全部そうですが、「このサービスも一緒に提供したらお客さんに喜んで頂けるだろう」という視点に立ち、新しいサービスや商品の開発、追加を行っているということです。「オフィスが17年前からどう進化しているか?」とイメージして頂いて、オフィスの環境が進化していく通りに事業モデルを追加しているだけですから、17年前から何も変わっていません。時代によって変わるニーズに応じている、というだけです。
御社の一つのコンセプトとして、中小企業を支えるというものがあると伺っております。そこに着目してビジネスを起ち上げたことについてお聞かせください。
中小企業を支えることが事業と言うよりは、我々の市場のターゲットが300名未満の中小企業と言うことになります。300名未満のところは、情報システムの専属部署を設けられない企業も多いのです。そのため、我々のミッションの中には「中小企業の情報格差をなくそう」というものがあります。
競合やライバルが増えてきているとは思いますが、社長ご自身が考える御社独自の強みとしているものはどういったものでしょうか?
一般的な企業は売り上げや利益などを中心に計画を立てておられると思いますし、我々もそれは同じですが、どちらかと言うと我々は売り上げや利益よりもマーケットを全体的に見た時に、「どういうところでどのくらいのシェアを取っていくか」という“大事にしておくべき資本”を明確に定めているというところだと思います。どこでも勝てるほどビジネスは甘くないので、事業におけるポジショニングと、自分たちが戦う場所を明確にする必要があります。計画を明確にし始めてから業績が上向いてきたと思うので、逆に言えば創業当初からこれが分かっていれば、今の10倍くらいの会社にはなっていたと思いますよ。
とは言え、この不況の只中で売り上げが1.5倍というのは考えられないことだと思いますが…
言っておきますが、売り上げは関係ありません。企業の中で売り上げを見るのはよくないと思います。1つは、IFRSが入ってくると小売りや人材派遣などの企業の売り上げは今の半分、もしくは10分の1くらいになると言われています。もう1つは、ITの世界も物を仕入れて売るようなサービスがなくなり、所有から利用へと変わっているためです。シェアが伸びていて利益が上がっていれば、売り上げなんて大した問題ではありません。利益の伸びという点でも、従業員1人辺りの伸び率という視点で見ていかないとダメですね。それでいうとまだまだだと思います。
「目標を明確にした時点から成長の速度が上がった」と仰っておりましたが、具体的にはどういった戦略をとられたのでしょうか?
先ほど申し上げた「300名未満」、それから、「BtoCには行きません」ということです。あくまで、300名未満のBtoBです。それから、販売するエリアを絞っています。ITのサービスは大抵の商品が数年ほどで切り替わってしまうため、繰り返しのサービス提供が必要となります。新規開拓も大切ですが、新規開拓したお客様に次、その次とずっと導入して頂かなければ意味がないのです。そのためのキーはメンテナンスですが、メンテナンスは生命線なのでアウトソーシングには出さず、自社内で抱えておく必要があります。自社内でメンテナンス可能な、すぐに駆けつけられるエリアというのは車かバイクで1~2時間以内のエリアなので、エリアを絞っているのです。新規営業も行っていますが、同じところに何度も営業は行いません。これも1つの営業効率で、2回目や3回目に折れないお客様に販売しても売上利益は先に繋がらないためです。企業と言うのは存続していくものなので、3年後5年後の、先を見ることが大切だと考えています。
「ニーズに応えたサービスの提供」という点で、現在は電子ブック作成ツールが御社の成長株になっていると伺っております。ウェブ事業に関してはどういった戦略をお考えですか?
戦略は簡単で、電子ブックとウェブはどんどん融合していくと思っています。どちらかと言うと今一番高いのは人件費で、中小企業が取れないのは“優秀な人間”ですから、中小企業においてウェブの役割というのはマーケティングや販売のチャネルとして、営業社員何十人何百人に匹敵するくらい大事なツールになっていくはずだと考えています。電子ブックとウェブで電子化することにより売り上げを伸ばそうという考えの企業は増えていくと思っていますから、この部分のクオリティ上昇や機能の増加を考えています。
WEB事業に関しては、“CLM”(クローズド・ループ・マーケティング)、簡単に言うとビッグデータという考えに基づき、「いろいろな企業がどのようにしてアクセス解析を基にした次の販売・マーケティングへつなげていくか?」という辺りに人と経営資源を導入していきたいと考えています。企業にはいろいろな業界があり、業界によって発展の速度も違うため、ウェブ事業に関してはエリアではなく、業界という区切りで絞ってシェアを取りながら展開しようと考えています。
開発のテーマも業界ごとに分けています。たとえば、他社製品と当社の電子ブックの違いは“ワンオーサリングマルチデバイス”、「1回の作業ですべての端末で電子ブックの閲覧が可能になる」という機能をはじめとして検索機能やSNS対応などが出来ますが、最近一番支持を頂いているのが「ログ解析」です。これは、どのページのどのあたりにどのくらい滞在されたかというものが分かるため、カタログ販売会社などで非常にヒットしています。人気のある項目を増やし、人気のないところは革新するといったスピードがウェブでは非常に重要になってきていますから、この辺りの開発スピードを上げる予定です。そのために、スターティアソフトというグループ会社を中国の西安に設けていますが、こちらでは優秀な人材が日本の5分の1くらいの人件費で採用できますね。現在は50名ほどおり、ほぼ100%、スターティアラボの電子ブックアプリを作っている会社です。
電子ブックを中心としたウェブ事業は、売り上げのどの程度を占めておられますか?
売り上げで言うと2割、利益は半分くらいを占めています。SaaSなどのサービスをすると売り上げはあまり伸びませんが、こちらの場合はほぼ丸々利益に繋がっていますから。ウェブ事業が大きいからと言って、他の事業がダメだということはなく、IRを見て頂ければわかる通りちゃんと伸びていますが、他事業からスターティアラボへ人材を入れている状況なので、これがなければ本当はもっと伸ばせますね。ただ、兵力の配分ということも大事な経営の一つですから、逆に言えば今が旬で、価値があるのでラボを“伸ばしている”と言えます。
ビジネスソリューションが伸びている理由や伸ばせた要因を伺ってもよろしいでしょうか?
エリアを絞っていることと、リセール率が高いことだと思います。それはやはり、メンテナンスを自社で行っているというのが大きな要因だと思いますね。それからもう一つ、社内で事業部ごとの紹介をよく行っています。例えば、IP電話を導入して頂いたお客様にコピー機を紹介したりなど、一緒に販売することで普通にコピー機を売っている企業では出ない利益が入ります。利益率にすると2倍、3倍になるため、他社と比べても新規開拓のコストはかなり詰めていると思います。売り上げ構成の中のある一定部分はリセールや紹介というものが利益を押し上げている要因です。
リセール率という切り口は難しいですが、ただ一つ言えることは、当社が安定的に伸びているここ数年間の事業においての最も大きな貢献は、ストック事業が増えていることです。IR資料にも出しましたが、ストック事業が今期通期で売り上げ全体の32.9%、売り上げで言うと22億と全体の約3分の1を占めています。ストックがあるので、翌年、翌々年の売り上げも読めますよね。原価は少し掛かりますが、ほとんどが利益につながるので、売り上げの伸び率以上に売り上げに対するストック売り上げの比率が伸びているということになります。これが力強いので、そう簡単には赤字になりません。
他社と比較したときに、御社が支持されている要素というものはどういった点でしょうか?
他社よりも当社が断然いいとは思っていませんね。当社よりも業績のいい企業を見て「もっとできるはずだ!」という視点や考え方しかありません。
では、逆にそちらの視点でお伺いします。「もっと伸ばせるはずだ」というのは、どのあたりを改善すれば見込めますか?
生産性を上げることやクロスセル、解約率を下げることでしょうね。今は新規事業として電子ブックを一生懸命やっていますが、ITの進歩は考えられないくらい速いので第2第3の電子ブックとなる事業を投入しなくてはいけないと考えています。ここ数年間で時価総額数百億だった企業が急に未上場企業になることもあるので、何もしないでいると大変なことになります。大企業ですと官僚的な管理職がいるので、フットワークが悪くなる大企業病になりがちですが、当社はそういった人がいないベンチャーなので、勢いがあります。平均年齢も若く、ベンチャースピリッツがあるので、この辺りの差はあると思っています。
3つの事業のうち、ネットワークソリューションの伸び率が悪く見えますが…
一言でいうと、「クラウドの流れに乗っているから売り上げが伸びていないだけ」です。例えばもともと50万で仕入れたサーバーを200万で売る、といった事業が、初期費用30万、月々10万のクラウドサービスにしましょうという大きな流れに変わっていることがまず1つ。それから、サービスの仕方も基本的にはクラウドと同じで、どの企業も所有から利用へとニーズが変化しています。昔は仕入れたルーターにネットワークを組み販売していましたが、今は初期費用と月額、契約期間を決めたレンタルでやりたいというニーズが増えています。これもストック商品の1つで、この流れが数年間ずっとあるのでネットワークも利益が出ていますが、1年間の売り上げでみると契約期間による分割になってしまっているので低く見えるだけです。利益面での貢献度は高いですよ。
IT企業では開発やマーケティングにおいて人材の優劣で差が生じると思いますが、人材の採用や研修、処遇などでどのように人を活かせるとお考えですか?
心がけているのは、会社説明会をなるべく行うということです。説明会では厳しいことも、私がほぼ100%喋り、私の話を聞いて「この企業はいまいちだ」と思ったらそれはしょうがないですから。逆に人事の人がありきたりな会社説明をして「面白くない」と感じてしまっては後悔しますしね。当たり前ですが教育にも力を入れています。入社してからのOJTは勿論、社内のメンター制度を行っています。同じ部署内の場合、利害関係が出てしまうので、全く利害のない部署の先輩にメンター(指導者・ 助言者)として活動してもらっています。
研修は入社3年目くらいまでの社員と1泊2日の合宿で、営業職やビジネスパーソンとしての研修と言うよりは「人生に対しての目標とは何か?」という、フランクリン・コヴィーの“7つの習慣”に基づいた目標設定研修として年に1回行っています。最初の数時間は私が講師を務めていますし、研修の資料も大概私が全部作成しています。ジュニアボードという次の経営者や経営的な考え方のできる人間の経営塾のようなものの講師も私が行っていまして、企業家や経営層になるにあたって必要な考え方や本をセレクトし、ディスカッションやレポートの提出、討論会を行っています。月に1回、3時間程度かけて行っていますが、前後の準備としてメールでのやり取りなど行っていますので相当な時間を割いています。これはその人のレベルが見えるのですごく良いことだと思いますね。ジュニアボードの選定は希望者がレポートを提出し、事業部長か部長の推薦があり、面談をして人数を絞るという流れです。 それに加えて、年に2回の全社会議。全従業員が参加し、グループ会社のトップも参加します。営業社員ですと年間の部、個人の部、課の部で年間のベスト3や特別賞の発表、ジュニアボード内で起案された新規事業の優秀者の表彰など、頑張っている社員にフォーカスされるようなことを行っています。今年からは営業社員だけではなく、技術や間接部門にも特別賞を設けていますが、こういった演出を社員にやらせるとすごくうまくて、盛り上がりますね。年に1回、全社員でやる運動会もあります。運動会は「勝つためにどうしたらいいか」と意外と頭を使いますし、こういった行事を通して皆仲良くなります。運動会の後は泊まりで、翌日に全体会議という流れになっています。

Company Data

スターティア株式会社

業  種
電子ブック、ITネットワーク環境からファシリティまで、オフィスのトータルコンサルティング
設  立
1996年2月
資本金
789,290千円(平成25年3月7日現在)
住  所
[本 社]
〒163-0919
東京都新宿区西新宿2-3-1
新宿モノリス19階
[大阪支社]
〒542-0086
大阪市中央区西心斎橋2-1-3
御堂筋ダイヤモンドビル7階
[横浜支店]
〒220-0004
神奈川県横浜市西区北幸1-11-15
横浜STビル9階
[名古屋支店]
〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内1-15-20
ie丸の内ビルディング10階
[福岡支店]
〒812-0016
福岡県福岡市博多区博多駅南1-10-4
第二博多偕成ビル4階
URL
http://www.startia.co.jp/

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