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株式会社エスプール

株式会社エスプール

浦上 壮平

1990年4月
日本情報サービス(株)入社
1992年7月
(株)ファコムジャパン入社
1995年4月
(株)タートルジャパン
(現(株)タートルスタディスタッフ)入社
1998年6月
同社取締役
1999年12月
当社設立代表取締役社長
2004年10月
当社代表取締役会長兼CEO
2006年3月
当社代表取締役会長兼社長(現任)
主力サービスである「人材ソリューション事業」について、御社の強みなどを踏まえて伺えますでしょうか?
 エスプールを設立した経緯とともにご説明させていただきます。私は前職時代となる1990年代後半に家庭教師センターに勤務していました。家庭教師センターには優秀な大学の学生が多く所属していましたが、当時はバブル経済崩壊後の就職氷河期だったため、非常に厳しい就職環境となっていました。就職浪人をして、アルバイトをしながら就職活動をする人も多くおり、私が所属していた家庭教師センターで働いていた大学生も、多くの人たちが就職浪人をしている時代でした。私は何とかして彼らの就職を支援したいと思いましたが、大学を卒業してからアルバイト経験しかない人材の採用に企業は難色を示します。そこで、彼らを就職させるためにはどうしたらよいかと考えた時に、縁故やコネを強制的に作ることができれば、彼らも就職できるのではないかと思いつきました。
 例えば、希望の就職先を持った人がいた場合に、私がその会社へ営業に行き、「ここの業務は社員でやらずに、アルバイトを活用することやアウトソーシングを検討したらどうですか?」とプレゼンテーションをします。そして、「私の周りには就職ができずに困っている優秀な学生がたくさんいます。彼らは素人かもしれませんが、就職したいという気持ちがとても高くあります。我々社員が責任を持って業務オペレーションを行いますから、若いメンバーで一年間この仕事をやらせてください」と提案をします。結果、業務を受託するという話になれば、彼らは一生懸命仕事に取り組みます。仕事を通じて自分を売り込めば、お客様企業とのコネができます。そしてお互い相思相愛となり就職できればということで始めたのが人材ソリューション事業です。
人材派遣サービスについても特徴があるようですが?
 人材派遣といえば、スキルのある人を採用し、お客様のニーズに応じて営業や受付、秘書などを一人ずつ派遣するのが一般的ですが、当社の場合は経験の少ない人材を採用して、グループ型やユニット型で派遣します。その中で、業務効率の改善や販売目標達成といった何らかの目標にコミットすることをお約束します。そして、良かったら就職させてください、というのが当社のビジネスモデルです。
 だから、派遣でも人一人単位で出すということはあまりありません。グループ型派遣と当社では呼んでいますが、社員がリーダーとなってチームをまとめながら業務を遂行していきます。よって、お客様からは「人材を派遣してください」と言われるよりも、「この現場の効率が悪いので改善して欲しい」といったことや、「販売目標を達成したい」という依頼を受けることが多いです。そして、そのような要望に対してチームを組んで業務に取り組み目標を達成していきます。これが人材ソリューション事業のサービスになります。
御社のロジスティクスアウトソーシングとは、一体どのようなサービスなのでしょうか?
 グループ型の派遣を行っているとノウハウが溜まっていきます。その中で、得意分野となったのがロジスティクス業務でした。ロジスティック業務は改善要素が多くあり、色々と工夫して取り組んでいくと、業務改善や人件費の流動化、システムの設計など色々と進めることができました。そのような取り組みの中で、完全に請負で業務を行っていこうとして始まったのが、ロジスティクスアウトソーシングです。
具体的にはどのようなことを行っていらっしゃるのですか?
 現在、ロジスティクスアウトソーシングで提供しているサービスは主に2つになります。ひとつは、自社で倉庫を借り上げ、ネット通販企業を対象に商品の発送代行サービスになりますが、現在、約50~60社の通販企業の荷物を預かっております。1社単独ではシステム投資や配送費の料金交渉、物流センターの管理や人材の採用や教育など、様々な業務負担が発生しますが、当社には 有名企業の物流現場で指揮を執っていたようなプロフェショナルが先頭に立ち一元管理を行っています。
 共同倉庫を利用することで、人件費の負担は軽くなりますし、システムに関しても共同利用することで費用負担も少なくなります。また、配送費に関してボリュームメリットの恩恵を受けることができることも大きいですね。
 また、最大の特徴は、物流業務を通じてネット通販の売上を伸ばす仕組みです。例えば、ネット通販の場合、その店舗を評価する仕組みがあります。評価の中には配送に関する項目もあるのですが、配送の項目で悪かった点を調べると、「梱包が雑だった」とか「届くのが遅かった」といった意見が多くあります。当社では、その点に着目し、どのように改善を進めていくかを毎回検討しています。丁寧な梱包はもちろんのこと、購入者に対しメッセージカードを添付するなど、きめ細やかな対応を行いながら評価を上げていくことをすべてのお客様に対して導入しています。このような取り組みによって、当社のお客様になっていただくと配送の評点が確実に上がっていきます。
 また、一般的な通販企業では土日は発送が休みとなりますが、当社では365日出荷可能となっています。さらには、物流センターが都内にあることから首都圏であれば当日配送もほぼ対応出来きますし、今すぐ物流センターに商品を取りに行きたいとう購入者の要望にも対応できるようにしています。この点については多少のコスト高となりますが、確実に売上は伸ばすことができます。
 そして、もう一つのサービスは3PLとなります。これは、サードパーティロジスティクスといって、お客様となる物流会社のセンターを当社が運営するサービスになります。例えば、はデパートを対象に納品代行業務を行ってる物流会社のセンター運営は、ほぼ当社で行っています。
注目事業の障がい者雇用支援サービスについて、詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか?
 企業には障がい者の雇用が義務付けられています。例えば100人の従業員がいる企業では、2人の障がい者を雇わなければなりません。しかし、飲食店やホテルといったサービス業では、障がい者ができる仕事が少なく、障がい者を雇用することに非常に苦労しています。一方、そうした飲食業界の中では、安心安全な野菜を安定供給するために、自社で植物工場などを運営したいと思っている企業も多くありますが、農業のノウハウもなく設備投資もかかることから、実際にできるのはごく一部の大手企業に限られていました。そこで当社では、障がい者が働くことのできる企業向けの貸農園の運営を開始しました。千葉県市原市に「わーくはぴねす農園」という農園を開設したのですが、そこでは、単純に企業に農園を貸し出すだけでなく、農業に関するアドバイスや障がい者雇用に関するコンサルティングも行いますので、企業は何のノウハウも必要なく、安心安全な野菜を作ることができ、さらには障がい者の雇用も行うことができます。
 一方で、障がい者の中には農業未経験者も多くいるため、就農に関する就労移行支援サービスも行っています。一定期間、わーくはぴねす農園内の訓練施設で農業を体験して問題がなければ、貸し農園を利用している企業を紹介し、就職して頂くモデルを導入しています。
農業の指導というのは、御社にそういう人材がいるということでしょうか?
 はい。農業の専門家がいて指導を行っています。また、農園の管理者については、地元のシニア人材を活用しています。当初は飲食店をターゲットに営業活動を行っていましたが、現在では業種を問わずCSR意識の高いお客様に幅広くご利用いただいております。
今、力を入れている事業というのはありますか?
 シニア系のサービスになります。現在、団塊世代が大量に退職する時代となってきました。シニアの中には、稼ぐことが目的ではなく、社会貢献をしたい、自分のノウハウや経験を若い人に教えて役に立ちたい、といった気持ちが強い人が多くいらっしゃいます。そこで始めたのが顧問派遣サービスになります。顧問派遣サービスでは、上場企業や大手企業で活躍していたOBと、経営課題を抱えるベンチャー企業や中小企業をマッチングさせるサービスになります。
 また、アクティブシニア派遣というサービスも開始しました。当社は「シニアだから」という仕事の受注はしません。例えばホテルのコンシェルジュやレストランの配膳業務などの場合、年配の方が高級そうなイメージがあったりします。「シニアだからこの仕事は難しいと固定概念で決めつけずに、シニアを積極的に活用していきましょう。」ということをお客様に提案しています。
その他に、新たな新規事業などはありますか?
 4月から開始したのがマーチャンダイジング業務になります。これは、メーカーの営業担当者に代わってスーパーやドラッグストアなどで販売スペースを確保する業務になります。これまではメーカーの営業員が行っていたことが多かったのですが、現在ではメーカーもそこまで人的に余裕がありませんので、当社のMDと呼ばれるスタッフが担当エリアを巡回し、各店舗で売場確保の交渉を行っていきます。MDは主に主婦の方々が活躍しています。もともと当社は、若者の雇用創出を中心に事業を展開してきましたが、このように最近では、障がい者やシニア、主婦など、相対的に就業機会の少ない人々の雇用創出まで事業が広がってきました。
株主向けの情報やHPを拝見していますと、「業務拡大」という言葉が多い印象があるのですが。
 当社の歴史を簡単に説明しますと、1999年に設立してから10年弱ほど成長軌道にのって来ました。アウトソーシング企業としてさらにステップアップするために、システム会社を2008年の9月に買収しましたが、その直後にリーマンショックが発生し、その会社が原因で2年間で約10億円の損失を発生することとなりました。その間は、赤字解消が最優先で、新規投資は行うことができませんでした。その後、システム会社の再建を自ら行い、約1年で黒字化を達成しまし、売却を行いました。赤字を解消し2期連続で黒字を確保することができたので、ようやく事業拡大に向けた先行投資ができるようになりました。今まさに事業拡大に向けて再スタート地点に立つことができたことから、「事業拡大」という言葉が多くなっております。既存事業を中心とした拡大が中心となりますが、タイに海外法人を設立するなど、新たなビジネスに向けた投資も着々と進んでいます。

Company Data

株式会社エスプール

業  種
・ビジネスソリューション事業
・人材ソリューション事業
設  立
1999年12月
資本金
1億5,000万円(2011年11月末現在)
住  所
東京都中央区日本橋2丁目15番3号
ヒューリック江戸橋ビル3階
URL
http://www.spool.co.jp

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