ホーム > 株式会社オプト

株式会社オプト

株式会社オプト

鉢峰 登

1967年
千葉県生まれ。
1991年
早稲田大学商学部を卒業後、森ビル株式会社に入社
1994年
株式会社オプトを設立
2000年
日本初のネット広告の効果測定システム「ADPLAN」開始
2004年
ジャスダック上場
2005年
株式会社電通とeマーケティング分野全般における
業務提携
2010年
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社と
資本・業務提携
御社はインターネット広告を主流として行っていますが、この10年でかなり様変わりしているかと思います。そこで、全体的に御社がどのような流れで変化しているのかを聞かせてください。

当社は、2001年からインターネット広告代理店として事業を開始しました。
まず、Yahoo!のバナー広告がメインであり、そこから検索広告、ソーシャル、ターゲティング広告へと変化しています。上場までの間、日本のインターネットでは圧倒的にYahoo!が強く、まさにYahoo!の時代でした。そこで、当社はYahoo!の広告を一番多く売った代理店として、300社ほどある代理店の中から「ベストパートナー」という称号を頂きました。Yahoo!のパートナー企業として成長できたことが非常に大きかったですね。

上場した2004年には、Googleの検索広告が出始めた頃です。この検索広告によって、伸びることが出来ました。電通と提携したのもこの頃ですね。電通はナショナルクライアントと呼ばれる日本の大手広告主200社、日本の広告マーケットの40%という非常に大きなシェアがある為、ナショナルクライアントの広告予算をネットへ持ってくるという狙いを込めての提携でした。

これまで厳しい生き残り戦争があったかと思いますが、どのようにして生き残ってこられましたか?
一番競争が激しかったのは2000年~2002年くらいの頃。ちょうど立ち上げの頃ですね。幸いだったのは、2001年にネットバブルが弾け、ネット広告に参入していた多くの企業が一気に手を引いて行ったことです。その結果として、主要な代理店に広告が集まり、生き残りました。
PCのバナー広告から、今はスマートフォンが主流になってきているかと思いますが、スマートフォンの検索広告が一番大きな需要としてこれから伸びていくという認識でよろしいですか?
足元で伸び率が圧倒的に大きいのはスマートフォンの検索広告ですね。
他にはディスプレイネットワーク(DSP)が本格化しているかと思いますが、それはどういうものですか?
アドネットワークだとか、ターゲティングと言われる商品です。今まで、例えば「Yahoo!ファイナンスを見る人=ファイナンス(投資)に興味がある人」ということで、ファイナンスの広告枠を仕入れていました。ただ、実際にそのように売れる広告枠というのはYahoo!全体のウェブサイトの中で4割くらいしかありません。今は技術が進化しているので、利用者の目的に合った広告、つまりターゲティングが一人一人に合わせて出来るようになり、なおかつ広告主側からしても、一番効果の高いところに広告を出せるようになっています。広告の在り方が変わってきている、というのが大きな流れです。
確かに…。最近よく出てきますね。なんというか、追われてるというか。
そうですね。クッキーというインターネットの閲覧履歴が自動的に残る仕組みになっているのですが、それに合っていて、なおかつ興味深いものを検出するという方法です。
まだ始まったばかりなので、今後は「家を買ったのに家の広告が出る」というような事態を回避する仕組みもできるようになります。基本的には消費者と企業がベストマッチすることが目的になっているので、消費者の欲しい情報だけを提供したいですし、企業側も効率をよくしたいと思いますしね。
全体的に企業の広告出稿料は減っている傾向で、これからも企業の広告枠や宣伝枠は減っていく流れになるとは思うのですが、インターネット広告の場合はその中でも伸びていくのでしょうか?
広告市場は全体的には横ばいの中で、インターネット広告は引き続き伸びると思います。
一般的に、GDPの1%~1.2%が広告費と言われています。それに比例した形で推移しているので。その中でも、マスメディアはどちらかというと減少しインターネットが伸びていくと思います。
では、黎明期は終わったということでしょうか?
そうですね。今、インターネット広告の市場は8000億円くらいありますが、2020年くらいには2兆円くらいまで上がると言われています。当社の場合、大体10%くらいのシェアなので、2兆円になったら売上は2000億円くらいになる、というイメージでしょうか。
そういった中で、成長の原動力として何を求めていかれますか?

“+αのビジネス”で勝負する必要があります。例えば、サイバーエージェントさんならAmeba、オプトならデータベースのように。ベースとなっている広告代理店というビジネスの周辺にあるチャンスを、どのようにマネタイズしていくかがビジネスチャンスになると思います。

フェイスブックなどはどう考えられますか?
伸びてくると思います。アメリカでは、Yahoo!の広告を抜くくらいのシェアです。日本の場合はまだまだですが、これから伸びると思いますね。フェイスブックジャパンも人員を増員しています。
御社の場合、「アドプラン」という効果測定ツールが非常に有名ですが?
上場前の特に伸びた時期、強みとしてアドプランという広告の効果測定ツールを業界で初めて開発しました。それまでの広告業界では看板などのマスメディアが主流で、「何人が見て、何人が買ったのか」などの詳細が分からなかった。インターネットの場合は、「何人がクリックして、何人が買ったのか」という数値が分かります。どうせ分かるのであれば、それをきちんと測定してクライアントに共有したほうがいいと思いました。それが思ったよりもクライアントに支持されて伸びました。
アドプランの導入で計測を始めると、「広告投資をもっとやろう」という意識に自然となります。効果のいい媒体についてはどんどん予算を出すようになり、自動的に広告の発注が増えましたね。これは現在も、もちろん行っています。むしろ、現在では効果測定システムを導入していない企業はないと言えます。アドプランはユーザーの使いやすさが評判でもあり、シェアは当社が一番だと思います。
今後、2020年に向けてイチオシの技術はなんでしょうか。
当社が一番注力しているのはデータベースです。CCCさんと提携したことにより、リアル店舗での行動データを基にデータベースマーケティング事業を展開しています。
PCやスマートフォンからの閲覧情報がデータベースに入るとのことでしたが、それは個人情報だとか…そういったものがちょっとコワイと思うのですが…?
そもそも個人情報は受け取りません。「Aというお店でBという雑誌を買ったCさん」のような情報として受け取るため、個人は特定できません。これらはいわゆる「ビッグデータ」と呼ばれる領域ですが、クラウドが出来たことによって大量のデータが安い価格で保有・分析できるようになりました。ですから、各社が自社のデータを分析しながらマーケティングを行う、という形が重要になってきます。
御社の事業計画を拝見したところ、この業界が金融市場、あるいは金融技術に重なる部分があると記載してありました。それは具体的にどのようなことなのでしょうか?
「広告枠を売るビジネス」から、「人を売るビジネス」へと変化していますが、運用型広告と呼ばれる検索広告や、またアドネットワーク広告の場合は、運用が重要になってきます。
例えば、キーワード検索によってどの広告を出すか、どこに出すのが効果的なのか、というのを時間帯や曜日によって変えたり、通販会社の場合は在庫と連動させるなどの運用が非常に重要になってくるのです。
こういった運用のための“トレーディングデスク”という運用部隊が、当社の場合は100名以上います。運用部隊が常に「どこにどのタイミングで広告を出すか」を行っているので、そういった意味では金融トレーディング技術の発展ということにはなると思いますね。 技術発展によって自動化されている部分もありますが、すべてがデータによって自動化されているわけではありません。効率を良くするためには、そこに人のノウハウを足すことが必要になってくるのです。
業界的にも安定成長ということでしょうか?
広告代理業は安定成長だと思いますよ。
過去からの流れを見てみると、Yahoo!からGoogle、そしてフェイスブックへとメディアは移り変わります。技術やサービス、ソリューションなども入れ替わっています。そういうものを提供する会社は常に最先端である必要があるので大変ですが、代理店は最先端のいいものを仕入れて提供します。
消費者のニーズに合わせた広告提供というのはやはり効果的ですよね。
そうですね。ですから、今後そういったものが増えてくると思います。例えば出先で欲しい商品があったとき、そのバーコードをスマートフォンでスキャンする。そうすることで、近くにある商品を扱っている店舗や取扱い価格が表示され、そこにリコメンドしてくる。「ここの商品がおすすめですよ」というような欄が出てくれば、土台になるデータベースが非常に重要になってくると思います。ただ、それが消費者に「何だかキモチワルイな…」と思われてしまえば、それはもう普及しません。
目的自体は、消費者にとって欲しい情報を欲しいときにだけ提供し、広告主としては効率のいいマーケティングを行う、というシンプルなものです。それゆえ、この2つをどうマッチングさせるかが大切になってきます。消費者に拒まれれば、当然うまくいきませんから、「そこをどうすればいいのか」が当社の仕事ですね。
サイバーエージェントさんなどはFXやゲームなど、どんどんメディア寄りになってきていますよね。御社も若干ですがメディア寄りのことを始められていますが、今後、メディアの方にはどのくらい踏み込むつもりですか?
サイバーエージェントさんが、まず2000年に上場し150億円調達しました。当社は2004年上場時の調達は7億円でした。これでは軍資金が圧倒的に差があります。だから、当社も電通さんと提携して100億円調達しました。そんな中、サイバーエージェントさんはアメブロに赤字を出しながらも投資を続けた。投資を続けたということが偉いと思います。彼らは、Amebaを持てたことによってそれが集客のエンジンになったわけです。ゲームなどにおいても、Amebaからいくらでも集客が出来る。これは彼らの最大の強みだと思います。これからは、広告代理以外の柱を、150億円投資しながらどうやって作っていくかが大切になりますね。我々なりのプラットフォームを目指しています。
メディアなどを作る場合、どちらかというとグループ会社のような会社ですか?M&Aでいい会社を買って拡大していく、といったような…
当社の場合、データベースプラットフォームに注力しています。そこは自社で投資します。
インターネット=成長企業、のイメージがありますが。
ネット市場全体が成長しているので、まさにそうですね。その中でも技術やメディア系ベンチャーは、まだまだチャンスがあると思います。
では、電通や博報堂などの大手代理店は今後益々苦しくなるのでしょうか?
どうでしょう。大手代理店もインターネットへ益々進出しています。
御社からすると、テレビというメディアは広告媒体としてはどうですか?
一般消費者の接する面としても、やはり効果は大きいと思います。ただ、年々視聴率が低下していることは間違いなくて、それに伴ってTV局の収益も落ちてきています。デジタルを取り入れて、収益構造を変えていく必要があると思います。
インターネット広告系の企業の営業の場合、後から入社した人が成長してマネージャー陣を抜いていくということが少なからずあると思いますが、こういった場合はどのように対処していますか?
2009年、2010年と当社は「エントリー制度」を導入して、過去の役職を全部ゼロにました。部署の役職だけ説明して、立候補を行う選挙方式です。新人であろうが、候補者は皆の前でプレゼンして、選ばれた場合はその人が部長になる、といったような制度です。やはり、「単にいるだけ・長くいるだけ」で上にいる、という人に対して不満は生まれますから。ゼロにして公平にすることで、そういったものは解消されます。
例えば、もともと部長だった人が「ガラガラポン」によって部長になったとしても、それは公平になったうえでの役職なので誰も文句は言わなくなります。若い人にとってはチャンスになりますし、会社全体としては活性化にもなりました。
「ガラガラポン」を行った当時、当社は大量採用の弊害もあり「大企業病」になっていました。上場した2004年には70人しかいなかった社員が、その後3年で700人になったわけですから。そうなると、「オプトイズム」という社風を重視していましたが、それを理解できずに入社してくる人も増えました。また、そのような状態で電通と提携したために、当社が求めているものとは異なる人も入社する状態になってしまいました。だからこそ、「ガラガラポン」を行うことで、「手を挙げた人じゃないと上に行けない」「仕事は自分でつかむものだ」という意識を再度植えつけたかったのです。やはり、「上から降ってきた仕事だけをこなす」という集団にはしたくなかったので。2009年と2010年の2年間の改革の目玉でした。
また、現在は分社化を積極的に行っています。分社化した少人数組織はベンチャーマインドを持ちやすいですし、空いた上のポストに若い人が昇進するなど、組織が活性化します。
30人~40人くらいの組織に分解していくことが一番いいってことですか?
組織としては一番良かったですね。
実際、分社化した組織はみんなうまくいっていますので。

Company Data

株式会社オプト

●業  種
eマーケティング事業
●設  立
1994年3月4日
●資本金
76億56万円
(2012年12月末現在)
●売上高
789億円
(2012年12月期実績)※連結
●住  所
東京本社:
〒102-0081
東京都千代田区四番町6
東急番町ビル
大阪支社:
〒530-0003
大阪府大阪市北区堂島二丁目1番16号
フジタ東洋紡ビル5F
●URL
http://www.opt.ne.jp/

Corporate website

Access

東京本社

Google Map
大阪支社

Google Map