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株式会社リンクアンドモチベーション

株式会社リンクアンドモチベーション

小笹 芳央

1961年
大阪府生まれ。
1986年
早稲田大学政治経済学部を卒業後、リクルート入社。
人事部人事課採用担当に配属
リクルートの大量採用などに携わる。
2000年
株式会社リンクアンドモチベーション設立
同社代表取締役社長就任。
2013年
同社代表取締役会長就任。
2000年にリクルートから独立なさったとお聞きしておりますが、当時はどのような戦略を立てておられたのですか?

私は14年間、リクルートの大量採用や組織人事コンサルティング室の立ち上げに携わってきました。その中で、これからの時代はモチベーションというテーマにフォーカスをした、コンサルティング会社が求められるのではないかと考えたわけです。
もう少し詳しくお話しますと、戦後復興期から成長期の時代は、お金とポストが働く人のモチベーションとなっていました。ところが経済発展をしていく中で、個人の生活がある程度成熟して豊かになったために、働くためのモチベーションが多様化してきました。その多様化の中においては、企業がかつてのように金とポストで社員のモチベーションを上げようとしたところで限界があります。そこに、大きな問題意識や認識のギャップを感じていた訳です。今後モチベーションマネジメントというテーマは企業にとって悩ましいテーマになるだろうと確信しました。

当社の社名である、「リンクアンドモチベーション」。これは、“自分たちはその領域で勝負をしていく”という決意が込められています。
「モチベーション」という言葉は「胡散臭い自己啓発系の会社」という誤解を与えるリスクも考慮しましたが、「モチベーション」というテーマは経営者の頭を悩ませるものであるという確信と、自分たちの事業の中心テーマだという想いから、正々堂々と社名として打ち出すことを決めました。
そして個々人のモチベーションを組織の戦略に「リンク」させること、また組織変革に向けて「採用」「教育」「制度」「風土」というテーマをリンクさせたかったことから、頭に「リンク」を掲げました。

商品の話に移りますが、組織を診断するツールを創業直後に開発しました。
モチベーションという切り口から組織を診断し、数値化・可視化することに成功しました。その診断結果に応じて、組織の課題に対して何から手を付けたらよいかというのを示唆するのです。お医者さんのレントゲン検査のようなものですね。

データチャートだとか、その類のものですか?
そうですね。社員が無記名で各項目の重要度と満足度をつけることで、その企業のモチベーション状態の診断結果が出てくるんです。Employee Motivation Survey(EMS)というサービスです。
従業員のモチベーション状態を数値化・可視化することで様々な組織課題の全体像を把握することができ、それに応じて採用や育成などのソリューションをワンストップで提供することが出来ます。
大企業の場合は、課題が解決するまでに大体2,3年ほどかかるケースが多いですね。
確かに、そういう会社ってなかったですよね。
多くの企業は、事業効率的に見て、研修だったら研修の、採用だったら採用の専門会社を使うことが多いように思います。ただ、その場合、本質的な変化は望めないと思います。採用も育成もすべて組織課題の解決に紐づいていますから。
当社の場合は顧客の組織課題をモチベーションという眼鏡ではっきりと特定し、それをトータルで解決できるようなサービスをそろえています。
独立されたのが2000年なので13年経つ訳ですが、その間御社のまねをしようという会社も出てきたのではないでしょうか?
後発隊は出ないのではないでしょうか。私たちは独自の診断ツールEMSを保持し、そのデータベースも何十万と持っていますから、その優位性は他社の追随を許さないくらい大きいものだと思います。
私は書籍を出版する際も、創業直後から年に二冊くらい、タイトルにはすべて「モチベーション」とつけて、かなりの頻度で執筆活動を行っていました。講演会も、すべてモチベーションをテーマにしたものです。まずはモチベーションという単語を普及させ、その重要性を啓蒙するということが、地道でかつパワーをかけたところですが、振り返ると非常に意味のある取り組みでした。
常に商品のブラッシュアップはしてきたと思いますが、それはどのような方針で行ってこられましたか?
当社の場合、商品開発はモチベーションエンジニアリング研究所という部署で行っています。商品の開発や基幹技術のブラッシュアップをしている部署です。
この研究所の研究員は、以前は現場で活躍していたメンバーが多くいます。そのような実務でモチベーションを扱ってきたメンバーで構成されていますが、東京未来大学のモチベーション研究所の先生方といった学術的な視点を持った方々とも意見交換を行っています。
そうすると、この研究所の方々というのは、ご自身もレベルアップしていかないと新しいものが出来ないと思いますが、それはどのように行っておられるのですか?
理論と実践のバランスが重要だと考えています。先に述べた専門家の先生方との意見交換をしつつ、顧客の課題やニーズを把握したうえで、次はこんなコンセプトの商品を形にしようといったことを考えています。理論を実践に活かしていく過程でレベルアップしてものだと思います。
新しいアイディアやコンセプト、企画などは“枯渇しないでレベルアップ”、というのは、一見簡単なようでも、どこかの段階で枯渇してしまうというのをよく耳にします。あるいは、マンネリ化してしまうというのを聞きますが、その辺りはどうでしょうか?
ずっと新しいことをやっていればいい、ということでもないと思っています。
アイディアがある程度形になったら、商品、仕組み、営業戦略に落とし込み、その段階で一旦ステイします。ある程度できたら、それ以上商品開発に力を注ぐよりも、マーケットで思いっきり展開することに力を注いだほうが経営効率は高まります。ある程度の時期がきたらタイミングを見定めて、マーケットと商品のズレを埋めるようにブラッシュアップしていきます。
創業以来、取引先や営業先、あるいは導入先は累計で何社くらいあるのでしょうか?
年間で大体1600~1800社くらいですね。そのうち、300社程度が新規のお客さんですね。
もちろん、業種も企業規模も様々ですし、お取引の金額も幅があります。億単位のワンストップサービスから、50、60万円のサービスまであります。
一番廉価なものですとどういったサービスを受けられるのですか?
“モチベーションカンパニークラブ”という、会員制のサービスがあるんです。
創業時に中小企業の経営者様からの「どれだけリンクアンドモチベーションが大きな会社になっても、中小企業へのサービスはやめないでほしい」という強い要望と、日本を元気にするためには中小企業が元気になることは不可欠であるという私たちの想いからできたサービスです。
経営者を対象としたセミナーや社員のための公開講座などを行っています。従業員数が少ない企業では一社での研修の実施はなかなか難しいので、そのような企業の皆様に公開講座を提供しています。
会長ご自身として、社員のモチベーションを上げる方法としてはどのように教えておられるのですか?
モチベーションカンパニークラブでは「経営者ディナー」を開催しています。会員企業の経営者の皆様を、弊社が経営しているリンクダイニングというイタリアンレストランにお招きして、交流を深めています。普段社内では言えないような悩みを会員同士で共有したり、私が組織人事コンサルタントとしてアドバイスをしたりと、非常に内容の濃いものとなっています。
御社の社員にもモチベーションの高い方が多い印象ですが、社内での人材育成というのはどのように行っておられるのですか?
当社は企業向けに人材育成のソリューションを提供していますから、自社の組織力が弱いと、「医者の不養生」と言われてしまいます。ですから、当然採用にも育成にもかなり力を入れています。
例えば育成の場合、当社は従業員の階層別に研修ラインナップがあるので、実際にお客さんに提供している研修を社内で実施しています。やはり自分たちが体験し、サービスについての理解を深め、自分の実感値を持ったうえでお客様に伝えることが大切ですので。
御社での採用基準を教えてください。

「熱くて、強くて、気持ちのいい」人材です。
“熱い”というのは、“想いがある”ということです。当社は「モチベーション」というこれまでビジネスとして存在していなかったものの重要性を社会に発信してきました。まだまだ拡大成長を目指していますので、社員ひとりひとりの想いは非常に重要です。
“強い”というのは、“簡単に折れてしまわない、しなやかな強さ”です。難しいことをやっているので、どうしても一人前になるまでには時間が掛かります。そのような中で、意思をもって辛抱強く頑張る、折れない強さが必要なんですね。正直、ストレス耐性の弱い人は難しいと思います。
最後に“気持ちいい”ということですが、これはコミュニケーション能力の事です。気持ちのいいコミュニケーションが出来る人、周囲に良い影響を与えられる人と一緒に未来を創っていきたいと思っています。

御社の営業の方法を教えてください。具体的に、どのようなアプローチを行っているのでしょうか?
既存顧客からの紹介やセミナーの開催が主なアプローチ方法です。
テーマを決めたセミナーにお越しいただいて、そこでテーマに沿う話と、当社の商品ラインナップをご紹介させていただいています。
どこかで成長のエポックになっている出来事や時期などがあったかと思いますが、そちらはどうでしょうか?
まず創業から5年目までは、自分たちが起こしたビジネスの拡大に努めてまいりました。 6年目~10年目はリーマンショックの影響も受け、厳しい状況もありました。その中で、自分たちの事業をさらに発展させることはもちろんですが、M&Aもひとつの手法として捉え、事業を拡大させてきました。
11年目からは、モチベーションエンジニアリングという技術を、法人だけではなく、個人に向けても提供しよう、ということで、これも次の大きなターニングポイントとなりました。具体的には、パソコンスクールのアビバがグループインしたり、中高生向けの学生塾モチベーションアカデミアを立ち上げたり、ひとりひとりの「自分創り」を支援するような事業を拡大させてきました。
モチベーションアカデミアは進学塾ですので、勉強を教えるのは勿論ですが、月1回弁護士やプロのスポーツ選手など、「本物」から仕事やこれまでの人生について聞き、自分の将来について考えたり、他の学生とディスカッションしたりする「モチベーションゼミ」を実施しています。
個人向けのサービスとなると、学生だけでなく一般の会社員やOL、主婦なども対象になるのでしょうか?あるいは、シルバー層だとか…
そうですね。1月には資格スクールがグループインしました。今後は語学を加えたりだとか、シルバー向けの生きがいづくりの講座だとか…発展は色々と考えられます。
M&Aについて具体的にお聞きしたいのですが…
2006年に初めてのM&Aを行い、現在リンクアンドモチベーショングループは11社から成り立っています。
M&Aは銀行からご紹介いただく場合もありますし、M&Aの専門会社だとか、証券会社だとか…様々なルートから情報をいただきます。
M&Aの経緯としては、例えば70代後半の経営創業者がそろそろリタイアを考えており、事業の承継先を探しているという内容でお話を頂くことが一番多いですね。
M&Aの申し込みについては相当な精査をなさっているのでしょうか?企業文化のマッチングだとか、定数的なものなど…
企業向け、個人向けそれぞれに事業メッセージがはっきりしているので、そのメッセージの中で事業的な側面と、会社の風土や愛称を見ながら検討しています。
今後3年間くらいの成長イメージを教えてください。

やはり、ビジネス部門とコンシューマー部門の両輪経営となりましたので、それぞれで、拡大の絵を描いています。3年で2倍くらいにはなるんじゃないでしょうか。売り上げ構成比率はビジネス部門とコンシューマー部門で1:2くらいですね。

それから先ほどの学習塾の場合、学力はもちろんですが、モチベーションのコントロール方法などの、社会に出てからも役立つ力が身に付くのが大きな特徴です。当社にはグループ会社に大学生支援の会社もありますから、その後の就職活動にもつながる塾というイメージです。これが、世の中にはないアプローチの仕方だと思います。
大学生は就職活動が3年生からなので、登録する大学生は3年生が中心です。約2万人くらいの学生が登録していますね。この2万人の学生はとても「自分創り」に対する意識が高く、企業の人事部からすると非常に魅力的な存在になっています。
これがビジネスに変わるわけです。「30人のインターンシップを開催します」というお声がけをいただければ、企業様が求める人材像にマッチした学生を紹介します。この場合は企業からお金をもらって、学生さんからは一切お金は取りません。マッチングの際の条件が増えると、値段が上がるという仕組みになっていますね。
新卒紹介事業も立ち上げましたが、内定、そして入社に至る確度は非常に高いと思います。

新卒紹介はやはり大企業向けのサービスなのでしょうか?
現在は、勢いのあるベンチャー企業様からご相談をいただくことが多いです。
経営者の方が採用に対して熱い想いを持っている企業様には、すでに導入いただいております。
話は変わりますが、創業期に一番苦労したことを教えて頂きたいのですが。
2ヵ月くらいで資本金が尽きたことです。
創業が銀座で、オフィスにも凝って、求人のためにも使って…。
お金が入るまでには多少時間が掛かりますので、最初の資金繰りは苦労しました。 役員の個人通帳を預かってやりくりをしていたほどですから。(笑)
御社で心がけていることを教えて下さい。
やはり、信頼がすべてだということですね。
これは個人も企業もそうですけど、信頼が高まれば自由にいろんなことが出来るんです。
信頼残高を増やす。そのためには、約束したことはちゃんと実行する、ということです。 信頼を裏切るようなことだけはしてはいけない、と。こういう真面目なことを社員と共有しています。信頼は積み上げるには時間が掛かりますが、崩壊するのは一瞬ですからね。

Company Data

株式会社リンクアンドモチベーション
(Link and Motivation Inc.)

業  種

モチベーションエンジニアリングによる企業変革コンサルティング


・モチベーションマネジメント事業
(人事・教育支援)
・エントリーマネジメント事業
(採用・動員支援)
設  立
2000年3月27日
資本金
979,750,000円
(2011年12月末日現在)
売上高
105億円
(2011年12月期)
住  所
東京本社:
〒104-0061
東京都中央区銀座3-7-3
銀座オーミビル
大阪支社:
〒530-0001
大阪府大阪市北区梅田2-2-2
ヒルトンプラザウエスト
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東海支社:
〒450-0002
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