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株式会社ベネフィット・ワン

株式会社ベネフィット・ワン

白石 徳生

1990年8月
株式会社パソナジャパン(現ランスタッド㈱) 入社
1996年3月
株式会社ビジネス・コープ
(現㈱ベネフィット・ワン)取締役就任
2000年6月
株式会社ビジネス・コープ
(現㈱ベネフィット・ワン)
代表取締役社長就任(現任)
2012年3月
株式会社ベネフィットワンソリューションズ
取締役就任(現任)
2012年5月
ベネフィット・ワン上海 董事長就任(現任)
2012年5月
株式会社保健教育センター
(現㈱ベネフィットワン・ヘルスケア)
取締役就任(現任)
2012年9月
株式会社パソナふるさとインキュベーション
取締役就任(現任)
2012年10月
Benefit One USA, Inc. Chair of the Board
就任(現任)
 

1989 年に拓殖大学政経学部を卒業後、1996年パソナの社内ベンチャー第1号として、「企業に勤めるすべての方に喜ばれる福利厚生サービスを提供する」という理念のもとに株式会社ビジネス・コープ(現 株式会社ベネフィット・ワン)を設立、取締役に就任。2000年ビジネス・ コープ代表取締役社長に就任。2001年ベネフィット・ワンへ社名変更。2004年JASDAQ 上場、2006年に東証二部上場を果たす。
福利厚生サービスのみならず、インセンティブ、CRM、BTM、ヘルスケアなど次々と新規事業 を展開し、2012年には上海およびサンフランシスコに現地法人を設立。現在会員数は598万人を超え、福利厚生事業で培ったユーザー課金型のビジネスモデルを強みに、新しい「サービ スの流通創造」を目指す。

御社は社内ベンチャーということで、他社とは少し違ったスタートかと思います。社内ベンチャーの強みという部分をお聞かせ願えますか?

本来であればゼロから起ち上げた企業と社内ベンチャーを比較した際、社内ベンチャーは最初から親会社の資本力や人材、ブランド力を持っているので有利に見えるため、社内ベンチャーの方が成功率は高いのが普通だと思われがちです。ところが、ゼロから起ち上げた企業は失敗した際の負担が自分に降りかかるのに比べ、社内ベンチャーは「失敗しても親会社に戻れる」という“意識”の甘えがありますから、有利だということを確信犯的にわかっていることが逆にハンデになってしまいます。

そのような“意識”は白石社長にもありましたか?
僕の場合はそういった意識は全くなく、失敗したとしても親会社に戻る必要もないし、失敗して会社がお金を出せないと言ったら、自分で入れるつもりでしたから。「なぜ自己資本でやらなかったか?」というのは、始めようとしていたビジネスモデルがお金がかかるということ以上に、信用が求められる事業だったからですね。創業した96年当時はマーケットが非常に冷え込んでおり、できたばかりのベンチャーが簡単に資金調達をできるような時代ではありませんでした。もし、創業が2,3年遅れていたら当時のITバブルに乗って自己資本でできたかもしれません。当時はかなり確信犯的に、「社内ベンチャーでもいい」とスタートしました。
御社が創業した95年頃はWindows95が出たばかりで、まだホームページがある企業も珍しいくらいだった時代だという記憶があります。
皆さんがホームページを作り始めたのが96年頃ですから、インターネットの会社を作ろうとは思いつつも、当時のインターネット環境は脆弱だったため、媒体のガイドブックやコールセンターを設けるなどして遠回りで行っていました。時代の先駆けというよりは、ガリバーのいない大きなマーケットを探していたのが当時の僕のテーマでした。なぜなら、ニッチなマーケットでシェアをたくさん取ったとしても、会社はマーケットのサイズ以上には大きくなれません。しかし、大きなマーケットには大抵ガリバーと呼ばれる既存の大手企業が存在しているため、同じ分野で新規事業を起こしたところで成功率は極めて低いのです。ガリバーのいないマーケットを探していた時に、インターネットという非常に大きな、まだガリバーのいないマーケットが世の中にデビューしたことで、インターネットを使ったビジネスを始めようと決めました。
当社を外側から見た人は、「福利厚生のアウトソーシングで成長した企業だ」と思うかもしれませんが、あくまで「インターネットを使った課金制のサービスマッチングをする」というのが我々のビジョンでした。ところが、個人からお金を取るというのは非常に大変です。そこで、福利厚生に目を付けました。今でこそ「福利厚生のアウトソーシング」という言葉を使っていますが、我々は結果的に企業の従業員と福利厚生サービスを提供している企業の間に“サービス流通”を作ることを意識しています。利用者側からすれば「福利厚生のアウトソーシング」でも、サービスを提供する側から見たら、それは職域販売(企業の従業員向けの社内販売)となります。サービス提供企業側から手数料を貰うか、ユーザーから会費を貰うかというところで、当社はユーザーからの収益を選びました。当社では福利厚生と似たようなCRMプログラムを企業のロイヤルカスタマーに対して提供しており、現在の総会員数はおよそ600万人ですが、1,2年くらいで1000万人を超えると思います。当初大きなテーマとして掲げていた、「1000万人の有料会員組織を作る」ということに対し、それがほぼ見えてきましたから、次に考えるのは「良い物を安く提供する」ということです。これまでは「他よりも安く提供する」ということを行ってきましたが、次に必要なのは良い物を選別するということです。比較検討という格付けを行う際に、サービス提供企業側からの手数料で成り立っていると非常にやり辛いところですが、当社はユーザーから会費を貰うということをずっと守り抜いてきたため、ここから先の格付けは非常にやりやすくなっています。これは、当社の優位点とも言えます。
インターネット上のサービスマッチング事業を行っている企業は、そのほとんどが企業側から広告料や手数料を取るタイプですので、当然数としては先攻が可能です。当社は現在後から追いかける立ち位置ではありますが、ここから先、格付けを始めてからの逆転は早いと思います。そのためにユーザー課金型に拘ってきたと言っても過言ではありません。
では、消費者がお金を払ってサービスを受けるという文化ができつつあるということでしょうか?
私は今年から“ユーザー課金元年”と呼んでいます。実際、一部課金を始めるサービスマッチングサイトは増えていますし、これからも増えてくると思います。現時点でかなり大きなユーザー課金型マッチングサイトは、Yahoo!オークションです。かつて無料だったYahoo!オークションは、有料化する際に賛否両論ありましたし、「うちは無料ですよ」と出てくるライバルもありましたが、結局残りましたよね。オークションという相対取引の非常に危うい世界ですから、会費を取る以上のサービスや保証を行っていたためです。Yahoo!は料金の値上げも果たしていますが、通常の既存サイトでユーザー課金に踏み込むことは怖くてなかなかできません。その分、当社は当初から課金制でやっているため、怖いことが何もないわけです。今はコンテンツ課金も増えていますが、最初から課金制のサービスマッチング事業は、周りを見渡しても今はYahoo!と当社くらいです。当社は有料会員制のノウハウを持っているので、企業からの「有料会員制にしたいので手伝ってほしい」というような依頼も増えてきているのが実状です。会員制は定量性、手数料は従量制です。買えば買うほど安くなるのと同じ定量性は、たくさん買う人にとっては有利なので、ロイヤルカスタマーに関しては各社定量性にして囲い込む形へ舵をきってもいいかなとは思っています。
会費を払っても、5%、10%と上乗せされているものが戻ってくると考えれば有料制は選ばれますよね。当社が目指しているのは、インターネット上のバイヤーズクラブですから。結局のところは、皆さんインターネットの本質に気付きはじめているということです。インターネットの情報は、テレビで言えば民放のようなもので、商業コマーシャルを見続けさせられているようなものです。私でしたら、そんな情報はいらないので、お金を払ってでも本当の情報を手にします。「ずっと無料」で伸びてきたインターネットの世界も、正しい情報や必要としている情報に対してお金を払う時代になると思います。
“サービス流通”を作るとのことでしたが、なぜそれが必要だとお思いになったのでしょうか?
目に見えないものは、比較検討ができません。モノを販売する世界においては、良い商品が一番シェアを持って売れていますが、サービスの世界の場合は一番いい商品がトップシェアを取っている訳ではありません。何がトップシェアかというと、広告をたくさん出したところです。サービス企業は製造業に対して宣伝広告の比率が高いのですが、これは目に見えない、「言った者勝ち」の世界だからです。商品に対する宣伝広告は非常に高額な上、消費者に対しての還元が何もないため、「サービス業は産業として健全に育っているのか?」という疑問符があります。それを改善していきたいのです。
今後の成長の布石をお伺いしてもよろしいですか?
福利厚生以外の事業部です。実際に今期の利益ベースで見た場合、福利厚生が全体の7割を占めていますが、来期はこれが5分5分になると考えています。それくらい、福利厚生以外の事業が利益ベースで伸びてきています。
これまでで何か大きなピンチのようなものはありましたか?
「2年以内に黒字展開にならなければ撤退する」という条件で新規事業として起こしたので、最大のピンチは立ち上げ時です。これはどんな企業にでも言えることかと思います。90%以上は新規起業したものの失敗し、ごく一部の立ち上がった企業ですら、何度か淘汰のタイミングがあります。「ダーウィンの進化論」でも言われているように、環境の変化に対応できなければどんなに強かろうが必ず淘汰されるということです。もう一つ、「ダーウィンの進化論」の中では「自然界において必要とされないものは淘汰される」と書かれているように、“なくても困らない”会社だから倒産してしまうということです。
組織は大きくなればなるほど難しいとは思いますが、そこをクリアしていく戦略とはどういったものでしょうか?
“意識”することです。17年前に創業した頃は人もお金もなかったので、17年かけて上場し、資金やお客さん、ブランド力と多くのものを得ましたが、一つだけ失ったものがあります。それは、従業員の“意識”です。創業当時は1人1人が「この会社の中心人物だ!」という意識のもとで事業展開を行っていましたが、それも10人ほどのメンバーだったからできたこと。1000人という規模になるとどうしてもそういった意識が薄れるため、そういう意味で「世の中平等だな」と思うのは、決して大きくて強い会社が有利というわけではないということです。大きな会社は、何もかも持っている分、責任所在の曖昧さや意思決定の遅さなど、いわゆる大企業病に陥る可能性があり、それに伴い、社員の意識も希薄になる恐れもありますが、できたてのベンチャーは何も持っていないので、その分だけ社員の意識が高まりプラスに作用します。普通は1万人規模の会社と10人規模の会社が戦ったら後者に勝ち目はありませんが、それがあるからビジネスは面白いですよね。
大きくなった分弱くなるという部分もあるということを自覚しているので、そういった現実を客観視することができます。1000人規模ということは、言い換えれば10人の集合体が100あるということになるので、見方を変えて細かい単位で見ればいいだけの話です。そういう意味では、分社化するというのはいいことかなと思い始めています。
これから成長していこうとしている経営者へのメッセージ等ございましたらお願いします。
日本はよく「企業にとって不利」「経済的環境が悪い」、だから「起業するタイミングではない」などと言われていますが、それは全くもってナンセンスな話です。なぜなら、「企業家にとって不利」ということは、ライバルが少ないということです。1年に何十万人と起業しているアメリカと比べたら、非常にチャンスですよね。「経済的環境が悪い」ということは、各企業が投資を抑制しているということになるので、これもチャンスです。そういう意味では、一見不利に見えることも、見方によってはハンディではなくなるということです。ただし、物事をピンチと捉えるかチャンスと捉えるかで、人間のモチベーションは変わってきます。ピンチの時がチャンスだと思える人間は強いと思いますし、チャンスの時ほど次世代におけるピンチの芽生えが起きているという意識ができるということは、経営上大切だと思います。表裏一体のピンチとチャンスを使い分けること、それをどういった“意識”として、わかりやすい言葉で社員に伝えていくコミュニケーションができるかが、トップの重要な能力だと思います。

Company Data

株式会社ベネフィット・ワン

業  種
・福利厚生事業
・インセンティブ事業
・CRM
 (Customer Relationship
 Management)事業
・パーソナル事業
・BTM
 (Business Travel Management)事業
・旅行事業
・ヘルスケア事業
・コストダウン事業
設  立
1996年3月15日
資本金
15億16百万円(2012年9月30日現在)
住  所
[東京本社]
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷三丁目12番18号
渋谷南東急ビル
[大阪支社]
〒547-0047
大阪府大阪市中央区淡路町
四丁目2番15号
URL
https://bs.benefit-one.co.jp

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